予防プログラムをマスターしたら、次はいよいよ基本治療のステージです。基本治療は大きく2つに分かれます。
感染症対策がメインとなります。むし歯の修復治療や歯内療法(再発防止のための感染根管治療、歯根端手術)、そして歯周病治療をおこなっていきます。
この場合のゴールは、顎関節を安定させることであり、そのために必要な治療として咬合調整という治療をおこないます。現時点ではこの咬合調整が一番効果のある治療だと考えています。そして、咬合調整の下準備のために、 “治療用冠の作製”をおこないます。
むし歯や歯周病、歯内療法の不備があると、咬合の変化による局所的な圧力を受けてそれぞれの病状を悪化させてしまう危険性もありますので、合わせてこれらの感染対策も十分におこなわれます。
歯科医療は外科手術や人工臓器移植手術といった医科の技術に近い側面があるため、詳細な検査と治療計画、それを実行する確かな“腕”と医療設備の充実が、治療の成否を左右します。
当院は、口腔ドックでMRI画像診断や歯科用CT(CBCT)等の機器を使ってお口の中をすべて検査した上で、それを元に治療計画を立てています。この計画を元に、必要な治療を選択して処置を施しますので、患者さん一人ひとりにとって個別な治療内容になってきます。
また、ほとんどすべての治療でマイクロスコープを使用しており、見たい場所を拡大してはっきりと確認しながら、内容に応じて最適な器具を使い分けることで、高精度で正確な治療を実現しています。
それでは、わたしたちが基本治療でおこなう治療内容についてご紹介しましょう。
すべてを裸眼で確認していた頃の歯科治療は、“暗い・狭い・小さい”の三拍子がそろった処置がほとんどで、その多くを感覚に頼っていました。マイクロスコープはそんな歯科治療に“光と拡大”を与えてくれました。今まで見えなかったものを、自分の目で直視しながら治療ができるため、「よくできたつもりの治療」が「99.9%完璧な治療」へと変化しました。
当院では、診療室にカールツァイス社製のマイクロスコープを設置して、100%すべての治療で使用しています。 精密な作業が必要な
治療の際には、より高性能な【OPMI MOVENA】という機種の設置してある診療室を使います。スムーズなピントで狭い口腔内にすばやく焦点を合わせ、可動範囲が多いためあらゆる部位を直視できる最高の顕微鏡です。
メンテナンスの時は 【OPMI PICO】という機種が設置してある治療室で注視するべき部位をじっくりと確認します。
歯科用CTは歯周組織の骨の状態や歯の内部の診断をする際に威力を発揮する機器です。お口の中を3次元的にとらえられるので、これまでX線画像ではできなかった精密な診断が可能となりました。また、医科用CTとは違う仕組みで放射線を照射しますので、被曝量が少ないことが特徴です。
当院が採用した
【モリタ社製 ベラビュー・エポックス3Df】という機種は、撮影時間がみじかく、X線が透過しやすい部位への線量を下げるという機能を持っており、患者さんの被曝量を最小限に抑えられるCBCTだといえます。
歯科用CTの大きな特徴は、3Dの画像によってお口の状態をありのままに再現してくれるところです。 従来のレントゲン写真による診断では、実際に歯肉を切ったり開いたり骨を削ったりしないと中の状態が分かりませんでした。
しかし、歯科用CTは今まで見えなかった世界を立体画像としてはっきりと映し出してくれますので、わたしたち歯科医は患者さんにより正確な治療を約束できるようになります。 そして、患者さんは第三者的な目で冷静に自分の歯の状態を実感できるので、納得の上で安心して治療を受けられるようになります。
CTとMRIはどちらも体内の状態を断面画像として描写する装置ですが、それぞれにはっきりとした特長があります。
まず、MRIは磁気を利用して、体内の水素原子の量と、水素原子の存在の仕方を検査する方法で、放射線の被ばくがないため、繰り返す検査に適しています。横断像だけでなく、冠状断像や縦断像など、どんな断面像でも得ることができるのも利点です。しかし、検査に時間がかかる (30分から1時間) 、骨の変化がわかりにくい、という欠点があります。軟組織は水分が多く含まれているためはっきりと映し出すことが可能です。特に顎関節の診断は関節円板という軟組織の診断が肝心ですので、当院では顎関節の診断のためにMRIを使用しています。
一方で、歯科用CTはX線を体の回りにぐるりと当てて得られた情報をコンピューターで計算し、格子の目のような2次元画像を作る方式で、骨などの水が少ない部分の状態を映し出すのが得意な機械です。 そのため、インプラント治療はもとより、根管治療や根尖病巣の管理、歯周組織の診断などに非常に役に立ちます。
ただし、歯科用CTは放射線を使って撮影するため、「被爆」という不安要素は必ず残ります。もともと、歯科用CTは医療用のCTとは違って、放射線の量は1/8〜1/50まで押さえられていますが、それでも被爆にかわりはありません。
当院では、この不安をできるだけ取り除くために、当院の歯科用に対するポリシーに合った機種を選定して使用しています。
歯科用CT(CBCT)は、放射線の照射によって画像をつくる装置ですので、患者さんの被爆量が常に問題となります。 そのため、当院では歯科用CTの利用についてある一つのコンセプトを大切にしています。 それは「必要な時に、必要な箇所だけを、失敗無く撮影する」こと。 歯科医としては、患者さんの状況を正確に知ることができる大変便利な道具なのですが、患者さんからしてみれば、被爆量という問題は大きな不安要素の一つと考えているからです。 患者さんへのリスクをできる限り抑えて、歯科用CTをできる限り有効に活用することが、患者さんの満足と安心につながると信じています。
そのため、当院では歯科用CTの利用についてある一つのコンセプトを大切にしています。 それは「必要な時に、必要な箇所だけを、失敗無く撮影する」こと。 歯科医としては、患者さんの状況を正確に知ることができる大変便利な道具なのですが、患者さんからしてみれば、被爆量という問題は大きな不安要素の一つと考えているからです。 患者さんへのリスクをできる限り抑えて、歯科用CTをできる限り有効に活用することが、患者さんの満足と安心につながると信じています。
当院では歯科用CTの利用についてある一つのコンセプトを大切にしています。それは
必要な時に、必要な箇所だけを、失敗無く撮影すること。
歯科医としては、患者さんの状況を正確に知ることができる大変便利な道具なのですが、患者さんからしてみれば、被爆量という問題は大きな不安要素の一つと考えているからです。 患者さんへのリスクをできる限り抑えて、歯科用CTをできる限り有効に活用することが、患者さんの満足と安心につながると信じています。
上の図は、日常生活で受ける放射線被爆量について説明したものです。歯科治療において、口腔内の限られた範囲を撮影する「デンタルX線」の放射線の量は、1枚あたり約0.016mSv(ミリシーベルト)、上下顎を一度に撮影できるパノラマX線写真では0.05mSv(1回)、そして当院の歯科用CTベラビュー・エポックス3Dfのパノラマ撮影は0.005~0.01mSv、CTは0.02~0.12mAv(1回)、スカウト撮影0.007mSvととても少ない値なので安心です。
当初は10種類の歯科用CTを候補にあげていましたが、この基準にそって選定をはじめると、3ヶ月後には4種類にまで絞れてきました。 どれも当院が決めた基準を充たすものでしたが、より緻密で正確な治療を求めて、実際に撮影したものを見比べるしか無いことに気がつきます。
そこで、当院は、院長自身の口腔内を撮影し、その画像をさまざまな角度から非常に厳しい目線で判定しました。このプロセスの中で、当院のベラビュー・エポックス3Dfが優れていると感じた点は6つあります。
患者さんとは10年20年のお付き合いになることが多く、長期間メンテナンスに安心して通っていただいています。そんな当院にとって、ベラビュー・エポックス3Dfは最適な選択だったと考えています。
根管拡大用ファイルは根管内を拡大する器具のことで、第五世代まで進化してきています。根管の中をきれいに削ったり形を整えたりするために使用します。
根管内の長さや形は歯によってさまざまで、病態によっても処置の方法が変わりますので、数種類のファイルを使い分けて対応しています。
最終目的である根尖孔の封鎖のために、感染象牙質の除去や根管内に根管充填剤を注入して根管孔を確実に封鎖できるように根管の形を整える目的で使用します。また、NiTiファイル(ニッケルチタンファイル)は、切れ味の低下や破折が起こる恐れがありますので、1人の患者さんの1歯の治療に対して1回限りの使用を大原則としています。
※ファイルは一つの歯に対して1回限りの使用です。
SAFファイルは非常に柔軟で曲がりやすくなっています。 水平・垂直どちらの方向にも根管本来の形状に順応するため、根管の形状を保ちつつ根管形成が行えるので、当院では今まで難しかった楕円根管・樋状根管に使用しています。 SAFもNiTiファイル同様、1歯に対し1回限りの使用です。
根管拡大装置はNiTiファイルを取り付けて使用しています。この装置はレシプロケーティングモーションと呼ばれる反復回転運動をする装置で、正回転と比較して逆回転を多くすることにより負担を軽減してくれます。これによって、手用ファイルでは困難だった最後臼歯部の処置も、短時間で安全確実に機械的に根管拡大・形成することができるようになりました。
根管充填の方法は抜髄根か、無髄歯・感染根かによって異なります。
1.抜髄根の場合は根管の形をなるべく保ちながら、根尖部の閉鎖を緊密におこないたいため、当院ではこのメルファーサーマーを使用しています。1本で三次元的根管充填ができるガッターパーチャとサーマプレップ2を使用した根充システムシステムです。
2.感染根管の治療では、往々にして根尖病巣ができていることが多いので根管拡大と根管洗浄を確実におこなった上で根充材としてMTAを使用します。その理由はMTAは封鎖性に優れ、また薬剤としての薬効も期待できるからです。
※MTA(Mineral trioxide aggregate):1960年代初頭にアメリカで開発された歯内療法用材料です。強アルカリ(pH:12.5)のため殺菌効果が期待できます。
水硬性であり、硬化する際に膨張するので隙間無く緊密に埋めることができ、漏洩による炎症を引き起こすことなく外来刺激を遮断します。乾燥すると中性となるためため害作用がなく、しかも生体親和性が高いので身体に安心安全な材料です。
ライトタッチはマイクロスコープと同じく、当院の歯科治療のあらゆる場面で登場します。従来のレーザー治療機器では治療目的以外の組織を痛めてしまうことがありましたが、ライトタッチにはそれがなくクールレーザーとも言わるダイレクトドライブ、非接触法による外即吸収型水爆発切削がおこなわれますので、低温、低侵襲のため、当院では歯周病治療や根管治療を始め様々な治療の局面で多用する機器となっています。