噛み合わせ
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頭痛・顎や歯の周りの痛みを緩和する
かんたん自宅マッサージ法

二つの筋肉をマッサージして痛みを緩和する

歯科医師・関端 哲士 / せきはた さとし

朝起きて大きく口を開けてあくびをした時、なんとなく顎や歯の周りが痛かったりしたことはありませんか?
また、日中仕事に集中して「ふと気を抜いた時」に顎や歯の周り、または頭がなんとなく重く痛い時はありませんか?

こうした痛みの多くの原因は口を閉じるための筋肉の疲労による痛みが原因なのです。
寝ている時や日中の仕事中に、無意識のうちに力を入れ、顎の周りの筋肉に大きな負担をかけてしまっています。その結果、顎周りの筋肉トレーニングと同じような負荷が加わるため、筋肉痛が起きてしまっているのです。

普段、運動不足の方が急に運動をする事で2日後に激しい筋肉痛に襲われ、後悔をしたという経験をされた方も多いかと思います。
まさにこれと同じメカニズムの痛みが顎の周りに起きているのです。
こうした顎や歯の痛みまたは頭痛を解消するためのお家で簡単に出来るセルフケアを今回はご紹介したいと思います。

まずは痛みのある筋肉を知ろう

前回のコラム「噛み合わせが原因?顎が痛い理由」でもご紹介しましたが、口を開けたり閉じたりするには大きく4つの筋肉が関わっています。

その中でも痛みに深く関わっているのが咬筋と側頭筋です。
咬筋は下顎角、いわゆるエラの所から頬骨にかけて走っている筋肉で、側頭筋は頭部から下顎骨の筋突起に向かって走る筋肉です。
この筋肉の流れに沿って同じ方向にマッサージをする事で筋肉のコリがとれ痛みが和らげる事が期待できます。

筋肉痛は2種類ある

一般的に筋肉痛時は湿布などを貼って痛みを和らげる方法が多くとられていますが、これは半分正解で半分不正解と言えるでしょう。
まず、筋肉痛は、痛みが生じてすぐの時の急性期と、しばらく経った時の慢性期とでは対応が異なります。

急性期(痛みが生じてすぐの時)

急性期においてはその場所に炎症症状があると考えられています。燃え盛る火事の様な状態になっているため、その炎を消す必要があります。その炎を消すために湿布などで患部を冷やす事は効果的と考えられるでしょう。

慢性期(しばらく経った時)

しかし、慢性期においては、そこまで大きな炎症は無いと考えられています。むしろ炎症の起こった組織回復させようという方向に向かっているのです。
その場合、湿布などを使って組織を冷やそうとしてしまうと、その組織の回復の働きを止めてしまうことになってしまうのです。

今回のテーマでもある顎や歯そして頭がなんとなく痛かったりするのは正にこの後者の慢性炎症と言えるでしょう。

お家出来るマッサージ方法

では、こうした慢性炎症に対してはどういった処置をしていけば良いかをお答えします。
まずは患部や体を温めることです。お風呂などゆっくり浸かっていただいて血行を促進させることも有効でしょう。その後、その患部をマッサージしていく事が大切です。
慢性化し、重たい痛みを持った筋肉は常に緊張感を保った状態になっています。そのため、筋肉の緊張感を取り除き、筋肉が柔らかくなる様にマッサージをする必要があります。

咬筋マッサージ

具体的な方法としては、人差し指と中指の二本を出してもらい、その指で頬のあたりを触ってもらいます、そこで一度強く噛み締めてもらいます。その時大きく膨らむ場所が咬筋となります。

その咬筋をマッサージしてもらうのですが、下顎角いわゆる顎のエラから約1センチくらい上の部分を二本指で小さな円を描く様にグリグリと100回くらいを目安にマッサージをしてあげると良いでしょう。

側頭筋マッサージ

次に側頭筋マッサージです。側頭筋マッサージも同じ要領で二本指を出してもらい、今度はこめかみから約3センチ上の部分に指を当てて、一度強く噛み締めてもらいます。その時に膨らむ場所が側頭筋となります。
その場所を二本指で小さな円を描く様にグリグリと100回くらいを目安にマッサージしてみましょう。
初めは痛いかもしれませんが、コリがほぐれていくうちに痛みは和らいでくるので、辛抱強く続けてください。身体が温まったお風呂上がりなどにやるのも良いでしょう。 
また痛みがある場所を避けるのではなく痛みがある場所を中心的にマッサージする方が効果的でしょう。更に一緒に硬い食べ物を控えたり、ガムの様な長時間何かを噛み続けるのも控えることを心掛けましょう。

まとめ:しっかりとした診断が大切

しかし、こうしたマッサージに頼りすぎてはいけません。あくまでもお家で出来る簡単なセルフケアにすぎないので、然るべき医療機関に診断をしてもらってください。
骨に異常があったり、腫瘍があったなんてケースも少なくはありません。
顎関節のしっかりとした診査、診断を行えるのは歯科医です。
もし、こうしたセルフケアで対処できない場合は、顎関節のMRI画像診断ができる歯科医を訪ねましょう。

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