噛み合わせ
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噛み合わせが原因?
顎が痛い理由

顎の痛みの原因と対処法について

歯科医師・関端 哲士 / せきはた さとし

朝起きると顎が痛い、顎が疲れている、そんな経験はありませんか?

その日は一日中、重たい感じがしてどうも憂鬱な気分で、頭痛もする……とりあえず痛み止めを飲んだけど、病院に行くにしても何科に行ったらいいのか……。

そんなときは歯医者にご相談ください。

歯科でしっかり検査、診断をしてもらい、なぜ痛いのか、どうしたら痛みが出るのかを知って、不安を解消しましょう。

顎の痛みの原因は?

痛みの原因としてまず考えられるのは筋肉です。

口を開閉するには、開口筋、閉口筋という2種類の筋肉を使います。口を開閉して歯と歯を噛み合わせる為には、それぞれの筋肉が収縮(働く)したり弛緩(休む)したりする必要があるのです。歯と歯が噛み合うことで食事をすることが出来ます。

しかし一般的に、人は無意識下では歯と歯が噛み合っていません。これを安静位といい、その隙間を安静空隙といいます。この安静空隙の状態のとき、閉口筋は弛緩(休む)しているのが正常です。しかし、何らかの原因によって閉口筋が収縮(働く)している時間が長いと、筋肉は疲れてしまいます。それが痛みの原因です。閉口筋肉に筋肉痛が起きているのです。

たとえば、久々に運動をした翌日の筋肉痛はなかなか辛いものですよね。しかし、そういった筋肉痛は、運動をしなくなれば長くても1週間もたてば元通りになります。

しかし、閉口筋の場合、人間が口を開閉しなかったり、ものを噛まずに生活したりすることはまず無理なので、筋肉痛が長期間続いてしまいます。そうなると、今までの経験からまず筋肉痛だと思えないでしょう。

顎の痛みに関係がある「閉口筋」とは?

人間には閉口筋が4種類存在します。咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋といい、中でも筋肉痛に大きく関係するのは、咬筋と側頭筋です。

筋肉痛に大きく関係するのは咬筋と側頭筋

咬筋は下顎骨の外側にあり、噛み締める事により大きく膨れます。咬筋が筋肉痛になると、咬筋が通っている顎関節はもちろんのこと、虫歯や歯周病でもない下顎の第一大臼歯や第二大臼歯が痛いと訴えるケースも多いです。その場合に、虫歯や歯周病でもない歯を抜いてしまったり、歯髄を取ってしまったりといった治療をしてしまい、結果痛みは治らないという残念なケースも存在します。

側頭筋はこめかみ辺りから頭の側方全体に広がる筋肉のこと。この側頭筋が筋肉痛になると大抵の方は頭痛を訴えます。しかし、頭痛を治す為に歯医者さんに行こうとする人はまずいないでしょう。内科や脳外科などの病院をまわって色々な検査をしても、結果問題はなく悩んでいる方が筋肉痛だったということも珍しくありません。

歯医者でもきちんとした検査を受けること。

ただの筋肉痛かと安心するかもしれませんが、実際それだけでは済まないこともあります。原因不明の痛みが長期的に続くことにより、ノイローゼとなり精神的につらくなってしまう方もいるからです。本当の痛みがわからなくなってしまい、たくさんの問題を訴えるケースもあると、歯科以外の治療も施す必要があります。

また、痛みの原因はたいてい筋肉痛であることが多いのは確かですが、実際、腫瘍が見つかったケースもあります。

筋肉痛であったとしても、なぜ筋肉痛が起きるのかと考えることが重要です。根本的な改善を行うためには、顎関節のMRI撮影や歯科用CBCT撮影を行うことで、顎関節の状態を知る必要があります。検査や診断を行なって、一つずつ問題をクリアにさせていきましょう。

まとめ

現在、顎の痛みの大半は、筋肉痛が原因です。

そしてこの痛みは、時間の経過とともに薄れていくことがほとんどです。

しかし中には腫瘍が痛みの原因になっていたり、何が痛いのかわからず悩むことで負のループに陥り、精神を病んでしまったりすることもあります。

こうならないためにも、歯科で適切な検査を行い、自分自身の状態を理解することが必要なのです。

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